大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和30年(う)36号 判決

記録に依れば、被告人は(一)昭和二十五年二月二十八日福井地方裁判所に於て強盗予備、詐欺罪に依り懲役一年の言渡を受け(該判決は昭和二十八年三月十五日確定、其の後懲役九月に減刑せらる。)(二)昭和二十八年三月十五日横浜西簡易裁判所に於て窃盗罪に依り、懲役一年(未決勾留通算十五日)の言渡を受け(該判決は同年四月二日確定す。)同年四月二日を始期として右(二)の刑の執行を受け、刑の執行順序変更につき、同年十一月二日該刑の執行を停止され、(一)の刑を同日より執行、昭和二十九年八月二日執行終了、同日より前記(二)の刑の残刑を執行し同年十二月十八日終了すべきところ、被告人はこれより先同年三月十八日仮釈放により出獄したものであることを認め得べく、以上に依れば、被告人の判示第一(犯罪の日、昭和二十九年十二月二十九日)第二(犯罪の日、昭和三十年一月八日)の各窃盗の所為につき、累犯の加重を為すに当つては、刑法第五十六条第五十七条を適用するを以て足り、所論の如く同法第五十九条を適用すべきでないと言わねばならぬ。蓋し叙上の前科は、初犯の刑の執行を終了して釈放された後、さらに罪を犯したことにより、再度受刑するに至つた関係にあるものでなく、相前後して確定した二個の裁判による二個の懲役刑について、引続き間断なく刑の執行を受けた関係にあり、従つて被告人の本件所為は右前科に対する再犯であつて、これを三犯であると解すべきでないからである。そうして見れば原判決が被告人の判示所為に対し累犯の加重をなすに際し、刑法第五十六条第五十七条を適用したのみで、同法第五十九条を適用しなかつたのは、まことに相当であり、原判決は法令の適用を誤つたものでないから論旨は採用するを得ない。

(裁判長判事 水上尚信 判事 成智寿朗 判事 沢田哲夫)

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